石元泰博・コレクション展「シカゴ建築」
学生時代を過ごし、代表作『シカゴ、シカゴ』の撮影地ともなった石元ゆかりの土地、アメリカ・シカゴ。生活の拠点を日本に移したのちの1966年秋、石元は建築誌『SD』*1での特集「シカゴ派―その文明史的背景」の取材のため、再びかの地を訪れます。
建築写真家としても活躍した石元は、摩天楼発祥の地であり、街全体が“建築の博物館”とも称されるシカゴの名建築群を次々とカメラに収め、バウハウス流の造形感覚を培ったニュー・バウハウス時代の初期作品とも、“己のシカゴ” *2を追い求めた「シカゴ」シリーズとも異なる視点で、慣れ親しんだ街を切り取りました。
1週間ほどの滞在期間に撮影されたカット数は約3,400コマ(36枚撮り35mmフィルム90本以上)にのぼり、そのプリントからは、限られた時間のなかで徹底的に対象に向かう石元の姿勢やその熱気までもが伝わるようです。
本展では、撮影当時制作されたヴィンテージ・プリントを中心に、シカゴ建築を写した作品を紹介します。
*1『SD スペースデザイン』1967年2月号(鹿島研究所出版会)
*2『色とことば』(石元泰博+滋、1984年)より