石元泰博・コレクション展「万博」

写真家・石元泰博は、桂離宮や伊勢神宮といった日本の伝統建築の撮影や、自身の暮らす都市を被写体としたライフワークなどに取り組んだ一方で、雑誌の企画や企業広報などの多様な依頼撮影にも応じてきました。その中には、「万博」にまつわる仕事も残されています。

これをきっかけに撮影を始めたのが〈落ち葉〉のシリーズです。雨が降ると石元は、自宅のある北品川から五反田周辺を歩きまわり、通行人に踏みつけられてアスファルトにへばり付いた落ち葉を見つけては、シャッターを切りました。ほとんど路面と同化し、かろうじて葉脈が形を残すのみとなった樹葉の姿に生命感を覚え、強く惹きつけられたといいます。そのうちに、車窓から捨てられ、自動車に轢かれて押し潰された空き缶へも、同様にカメラを向けるようになりました。

万国博覧会(世界博覧会、エキスポなど)は、18世紀末から19世紀にかけてフランスで盛んとなった内国博覧会の流れを背景に、1851年産業革命後のイギリス・ロンドンで初めて開催されました。以降、世界中の都市を舞台に各国が産業技術や文化の粋を競い合う場として発展し、世界最新の技術や文化が一堂に会する万博には、その時代を代表する建築家や芸術家たちが多く参加してきたことも良く知られています。

都市や文明のあり方をつぶさに見つめてきた石元の眼に、万博はどのように映じていたのでしょうか。本展では、1964年ニューヨーク万博や1970年大阪万博といった博覧会開催に際して撮影された写真作品を関連資料とともに展覧します。


[出品情報]「丹下健三と隈研吾 東京大会1964/2020の建築家 パリから今治へ—凱旋帰国展—」展(今治市玉川近代美術館)

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