石元泰博・コレクション展「雲、紙、雪のあしあと」

《雲》1991年頃 Clouds ©Kochi Prefecture, Ishimoto Yasuhiro Photo Center

バウハウスの流れを汲んだ造形感覚に裏打ちされ、時に即物的とも称される石元の眼差しは、晩年、刻々とうつろいゆく形なきものに向かいました。

水や氷の細かな粒子の集合体である雲は、時々の季節や気候によって自在に変化し、一時として同じ姿に留まりません。同じく水の変態である雪は、静かに降り積もってあわく柔らかな表情を見せるのも束の間、路上を行く人々に踏まれてシャーベット状に溶け、瞬く間に水となって消えてゆきます。

一方、紙を写した連作は、ラースロー・モホイ=ナジらの著書に触発されて取り組んだ、若き日の習作を彷彿とさせ、晩節にあって自らの創作を振り返った、原点回帰的な試みととらえられます。切り抜き丸まった紙片には定まった形があるものの、その存在を印画紙上に表すモノクロの諧調は、光の具合によって劇的に変化します。このことに、常に生成し消滅するつかみがたい現在をみつめた、雲や雪のあしあとの連作との共通点を見出すこともできるでしょう。

本展では、1990年代から最晩年に掛けて取り組んだ、うつろいゆく雲と雪のあしあと、そして紙を写したシリーズを紹介します。






石元泰博・コレクション展「水と人のながれ」

晩年の写真集『刻』(2004年)は、身の周りのうつろいゆくものを写した6つのシリーズ――落ち葉、空き缶、雪のあしあと、雲、水、人のながれ――によって構成されてい

もっと読む →

[出品情報]戦後デザイン運動の原点 デザインコミッティーの人々とその軌跡(香川県立ミュージアム)

香川県立ミュージアムで開催される展覧会「戦後デザイン運動の原点 デザインコミッティーの人々とその軌跡」に、当館所蔵の石元泰博作品38点他、関連資料が出品されます

もっと読む →

石元泰博・コレクション展「街」

常に自らが住む土地を被写体に写真表現を深めていった石元にとって、写真家としての修練を積んだシカゴと、人生で最も長い時間を過ごした東京は特別な街です。 当館石元コ

もっと読む →