石元泰博・コレクション展「ポートレート」

戦後、シカゴのニュー・バウハウス*1で近代的な写真の理念と方法論を学んだ石元泰博は、バウハウス的なモダン・デザインの思想に裏打ちされた画面 構成とその厳格な造形意識から、日本にとどまらず国際的にも高い評価を得ている高知ゆかりの写真家です。 石元は、人間を撮ることが一番難しく、一番苦手だと語っていますが、1959年から61年の3年間にわたるシカゴ滞在において、人間を撮ることを意識的に 取り組んでいました。*2 今回の展示では、1960年代に石元が撮影した若い芸術家の肖像写真や同時代の人びとを写したポートレートを中心に紹介します。
*1 ドイツのデザイン教育機関バウハウスを辞したモホリ=ナジがシカゴに開校したデザイン学校。石元が入学した1948年当時、インスティテュート・オブ・デザインという名称に変更されており、翌年にはイリノイ工科大学に編入された。
*2 対談 濱谷浩、石元泰博「アメリカで見たこと 日本で見たこと」『カメラ藝術』1962年2月号