石元泰博・コレクション展「都市―〈映像の現代〉シリーズより」
1960~70年代日本の写真界を牽引した編集者・プロデューサーの山岸章二が手掛け、森山大道、東松照明、奈良原一高ら気鋭の写真家たちが名を連ねた写真集シリーズ〈映像の現代〉。全10巻のうち、「都市」をテーマに掲げた第8巻は石元泰博の写真によるものです。
アメリカ・シカゴから戻り日本を拠点とした60年代、石元は個展開催や雑誌連載、写真集の刊行など、旺盛な活動を展開しました。本写真集を構成するのは、この頃撮影された高度成長期真っ只中の東京の姿です。
混沌とした都市空間の片隅で日常を営む人々、テレビや広告によって街に氾濫するイメージ、人工物と自然物の対比、地面や壁に落ちる黒々とした不穏な影――石元は、自身が身を置く「都市=東京」に鋭い眼差しをもって対峙することで、自らが生み出した文明に飲み込まれてゆく人間の姿を、写真家の知覚と被写体がダイレクトに切り結んだ映像表現として巧みに描き出しています。
本展では、『映像の現代8 都市』(中央公論社、1971年)に掲載された作品を、当時制作されたプリントから抜粋して紹介します。