石元泰博・コレクション展「包まれた食物」

《包まれた食物》 1984-85年 ©高知県, 石元泰博フォトセンター

食品トレーの上に綺麗にラップをされた鯛のお頭、食べやすいように解体されたカニの足、使いやすいように半分に切られたかぼちゃ。普段スーパーで販売されている食品の数々を20×24インチにもなる大型のポラロイドカメラで撮影したのが「包まれた食物」シリーズです。これらを撮影する数年前、石元泰博は『アサヒカメラ』に1982(昭和57)年の1年間「食物誌」と題して、妻の滋の文章を付した、食品24点の写真を掲載しています。どちらの作品にも共通しているのは食品がラップや包装で「包まれている」こと。この「食物誌」の中で滋は子供の頃高価で食卓にあまりあがることの無かった鯛を「今は、ちょっと財布の紐を弛めれば誰でも買える。ただしそれはバラバラに解体された一部分、ラップの中のお頭は、まさに唐竹割りに正面から身二つにされた片割れである。」*と、便利さの追求の先に鯛の特質や個性が失われていくのを憂いています。

80年代、日本の生活は、大量生産、大量消費を享受することで豊かになりました。しかし、この流れが食品の均一性、便利さを追求することにつながり、食品の個性や安全性を失わせてしまいました。このような問題を石元はこの「食物誌」「包まれた食物」シリーズで表現したかったのではないでしょうか。

*石元滋「食物誌」①『アサヒカメラ』1月号(朝日新聞社,1982年)

 

出品リスト(PDF)

 


[出品情報]生誕100年記念 高知県立美術館所蔵 写真家・石元泰博の眼(八幡浜市美術館)

八幡浜市美術館(愛媛)で開催される展覧会「生誕100年記念 高知県立美術館所蔵 写真家・石元泰博の眼」に、当館所蔵の石元泰博作品108点他、関連作品・資料が出品

もっと読む →

石元泰博・コレクション展「ハロウィン」

20世紀以降のアメリカにおいて、国民的な民間行事として親しまれてきたハロウィン。10月31日の夕暮れにこどもたちが仮装して家々を巡ると、いたずらをしない代わりに

もっと読む →

[出品情報]丹下健三 1938-1970 戦前からオリンピック・万博まで(国立近現代建築資料館)

国立近現代建築資料館で開催される展覧会「丹下健三 1938-1970 戦前からオリンピック・万博まで」に、当館所蔵の石元泰博作品7点が出品されます。また、ポスタ

もっと読む →